人気ブログランキング | 話題のタグを見る

tankobu


by sunaogoto

アメリカの外国人事情

アメリカの友人について思ったこと。
私がアメリカの大学院に留学していたとき、1年間、トルコ人の留学生と共同生活していました。彼は卒業後、アメリカの銀行に就職し、ニューヨークで働いていました。およそ5年後、彼はレイオフされました。

当初、彼の失業を、私はささいなことだと思っていました。修士の学歴と、大手銀行での5年近い経験があれば、次の仕事はじきに見つかる、見つからなくても、トルコに戻ってそれなりの仕事につけるだろうと考えていたのです。

しかし、次の仕事はなかなか見つかりません。アメリカの金融業界で、外国人が再就職するのは、よほどの実績や知名度がないと難しいそうです。アメリカで外国人が失業すると、労働ビザを失い、いずれ強制出国させられますから、友人は次の仕事探しに必死です。

トルコに戻って仕事をしながら、またアメリカに来る機会を待てばどうでしょうか。しかし自国には、彼がニューヨークでしていたような仕事は皆無で、アメリカ再入国につながる線は見込み薄なのだそうです。

そもそも、アメリカにそれほどまでして滞在したいものなのでしょうか。友人がいうには、アメリカほど高給の仕事に恵まれた国はない、トルコとはぜんぜん違います。

友人の知り合いのイタリア人は、3つの大学の修士と博士号をひっさげて、アメリカで就職しましたが、やはりレイオフされました。彼はイタリアに戻りたくないため、急いでアメリカ人女性と結婚して永住権を得ました。結婚生活は不幸だそうですが、それでもアメリカにいたいようです。

一方、同じ大学院を出て、日本で就職した私に、さほどの緊迫感はありません。失業の可能性はあっても、強制出国させられるリスクはなく、自国には、再就職の機会が多くあります。若きニートが80万人いる日本は、アメリカに比べればぬるま湯です。

強制送還をさけるために、友人は現在、タイマッサージをしながら収入を得ています。厳しい環境で鍛えられた彼は、いずれきっとアメリカで再就職すると思います。世界中のタレントを引き付ける求心力が、アメリカの底力のひとつであり、集まったタレントを競わせ、活かす文化が、引き続きアメリカの優位性を支えていくと思います。
by sunaogoto | 2005-10-13 23:43