自由

出発前に読んだ本のこと。
川端裕人の「リスクテイカー」という小説を読みました。若いヘッジファンドのトレーダーを主人公に、1990年代後半の、アジア通貨危機やロシア危機を描いた作品です。特に、後半は、展開が速く、躍動感があり、一気に読み進める傑作だと思いました。

この小説は、ヘッジファンドの活躍を描くだけではなく、価値の裏づけのあやふやになった、お金という存在の意義について、問いを投げかけています。主人公たちは、何百、何千億円という大金をトレーディングで稼ぎながら、お金とは一体何なのか、と絶えず自分自身に、そしてお互いに問いかけるのです。

小説の中で、主人公たちの後見人役である、ヘッジファンド業界の大物の老人が、「お金は自分たちの価値を測る基準のひとつだが、お金に測られなくなれば自由になれるのかもしれない」と言います。貧困や差別から自由になるためにお金を稼ぐ、しかしお金をいくら手に入れても、本当に自由になれるのか、答えは出ないまま小説は終わります。

私が自由をもっとも感じるのは、海外旅行をしているときです。オランダの列車の窓から、地平線いっぱいに広がる田園風景と、そこを流れる小川に浮かぶアヒルたちを見ていたときや、がらがらの電車のコンパートメントで横になって、スペインの夕日と赤土の大地を眺めたときなど、孤独ながら、体いっぱいの自由を感じました。

明日から1年ぶりの海外旅行に出ます。きっと今回も、お金では測ることのできない、自由な満足感を楽しめると期待しています。
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by sunaogoto | 2005-12-02 23:48