スリランカ行6

土曜日
この日は、アトラの運転が、もっとも価値を発揮しました。ヌワラエリヤの山間部を抜けて、スリランカ南端部にある、ヤーラというサファリに到達しました。私がバスや電車を使ってヤーラに行こうとしていたら、コロンボまで戻って、そこから海岸沿いにスリランカの4分の1近くを移動しなければならず、とても時間がなかったはずです。

サファリは、アントンにとって、スリランカ旅行の目玉でした。野生動物の好きなアントンは、ネパールやインドでもサファリをまわりましたが、あまり動物は見られなかったそうです。「ここにはヒョウがいるらしいよ。ヒョウが!」、「へえ、サファリって初めてだな」、「それでヒョウが見られたら、君は世界で一番ラッキーだよ」。

アトラが手配しておいてくれたジープ(運転手はアトラとは別の人)に乗って、サファリ内に入ると、そこは野生動物の王国でした。サル、野鳥、水牛、マングース、クジャク、シカ、ゾウ。特に広く開けた水飲み場では、水牛とシカたちが集まる沼に、遠くからゾウの群れがゆっくりと近づき、その前をクジャクのつがいが横切ります。

と、他のジープの連絡を聞いて、ドライバーが砂ぼこりを巻いておんぼろジープを飛ばします。着いた先には、ジープが5台ほどとまっており、みんな車から顔を突き出して(車から降りてはいけない)、一点を見つめています。日没間近の岩場のてっぺんに、待望のヒョウのシルエットが見えました。親子らしく、2つの頭が見えます。ときどきしっぽがひょっこり持ち上がったり、親ヒョウが立ち上がって全身を見せてくれる様子を、閉園時間ぎりぎりまで、静かに見守りました。

アントンは、ヒョウが見られてごきげんでした。私もたいへん楽しめたので、ジープのドライバーにチップをたくさんあげました。ドライバーも喜んでくれて、私たちにココナッツ焼酎をふるまってくれました。その後、ドライバーはアトラと一緒に、ほとんど空になった焼酎のビンを片手に、私とアントンが食事しているテーブルに乱入して、きました。ちょっと酔っ払っています。

ジープドライバー、「日本人にずっと世話になっている、おれもおれの家族も友だちも・・・。シィコウ(Seiko時計のことらしい)はいいなぁ。それシィコウ?(シチズンです)おれシィコウがほしいなぁ(だめです)。ねえねえ、あんたたち、今日見たけど、サファリに自家用車で入っちゃいけないんだよ、ジープだけしかいけないんだよ(となりのテーブルの観光客にからまないでください)」。

アトラも一緒になって、酔っ払っていました。「明日はビーチだけど、ホテルなんかに泊まらないで、おれの家に泊まるね。きまり!せまいけどさ・・・みんなでバーベキューして酒飲んで・・・ウヒヒヒ・・・シーフード好き?ホテルなしね。明日はおれんちね」。

日中のアトラは、時間にしっかりとした、腕のよいドライバーです。ジープのドライバーは、眼光鋭く、動物の姿を見つける、サファリの仕事人でした。しかし夜は2人とも、お酒に飲まれて見る影もありません。

私たちが乗ったジープは、植民地時代のイギリス軍のお古としか思えないような、おんぼろのランドローバーでした。ジープドライバーには、お酒をひかえて貯金して、早くもっとよいジープを買って、幸せになってほしいものです。
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by sunaogoto | 2006-01-17 23:01